こんにちは、食品法務専門行政書士のカネウジです。
今回は、精肉売場でよく見かける「カルビ」「ハラミ」といった通称の部位名について、POP表示と商品ラベル表示の観点から、適正性を確認していきます。
◆カルビ?ハラミ?それ、正式な部位名ではありません
「カルビ」「ハラミ」は焼肉でおなじみの言葉ですが、実は法令上の正式な部位名ではありません。
【通称と実際の部位】
・カルビ → バラ肉(牛バラ肉など)
・ハラミ → 横隔膜の筋肉(内臓肉に分類)
◆POP表示:通称だけではNG?
POP表示は、消費者の商品選択に大きな影響を与えます。
そのため、表示内容が曖昧だと誤認を招くおそれがあります。
【POP表示の例と評価】
◎ 牛カルビ(バラ肉) → 通称+部位名で明確
◎ ハラミ(牛横隔膜) → 通称に補足があり適正
△ カルビ → 動物種・部位が不明で曖昧
△ ハラミ → 内臓肉であることが不明確
× ハラミステーキ(赤身) → 赤身と誤認されるおそれあり(不適正)
◆商品表示(パックのラベル):さらに厳格なルール
商品に貼るラベル(名称・原材料等)は、食品表示基準やJAS法に基づき、正確で誤認を招かない表記が求められます。
【適正な商品表示のポイント】
・正式な部位名を使用する(例:牛バラ肉、牛横隔膜)
・内臓肉は「内臓」であることを明記する
・加工状態(味付け、冷凍など)も正確に表記する
【商品ラベル表示の例と評価】
◎ 味付牛バラ肉(カルビ) → 正式名称+通称の補足あり
◎ 味付牛内臓(横隔膜)/ハラミ味付 → 補足あり適正
× カルビ → 部位名がなく不適正
× 牛赤身肉(ハラミ) → 赤身ではなく内臓、誤認のおそれあり
◆表示ミスはリスクに直結します
・POP表示の誤認 → 景品表示法違反のリスク
・商品ラベルの誤表示 → 食品表示基準違反(是正指導や行政処分)
・消費者クレーム → 信頼低下、売上への影響も
◆まとめ:通称は使える。でも“補足”が必須!
「カルビ」「ハラミ」などの通称を使うこと自体は問題ありませんが、
POPやラベルには「正式な部位名」「内臓であること」などを補足し、消費者に正しい情報を提供することが求められます。
◆次回予告
次回は、惣菜や冷凍食品などの「原材料表示」をテーマに、添加物の書き方や「/(スラッシュ)」の意味などを解説予定です。
「なぜこんな表示の順番なの?」といった疑問をスッキリさせていきましょう。
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