【第2回】食品事業者のための外国人支援入門 — 現場でまず押さえるべきポイント

執筆:行政書士 兼氏(かねうじ)|カテゴリ:外国人支援・在留資格

食品事業者が外国人を採用・受け入れる際、制度や手続きの誤解は重大なリスクにつながります。本稿では、現場で実務的に役立つ基礎知識を行政書士の立場から整理し、事業者として最初に確認すべき点と具体的な対応の考え方を分かりやすく解説します。

1. なぜ今、外国人支援を重視すべきか

人手不足の深刻化や専門性のある技能の移入に伴い、外国人労働者は食品業界にとって重要な戦力です。一方で、在留資格の範囲を超えた就労や手続きの不備は、企業側に法的責任や行政処分を招く可能性があります。正確な知識と事前の対策が、事業継続の安全網になります。

2. まず確認すべき在留資格の基本(事業者向け)

  1. 在留カードの確認:在留資格の種類・在留期限を必ず確認してください。カードに記載された活動範囲が採用予定の業務に合致しているかを確認することが第一歩です。
  2. 資格外活動の有無:「留学」等の資格で就労する場合は資格外活動許可の有無と就労時間制限(原則週28時間)を確認してください。
  3. 在留期限の管理:在留期限が近い場合は早めに更新手続きの準備を行い、期限切れを避ける運用を整備してください。

3. 食品業界でよく関わる在留資格(概説)

  • 技能実習:技能習得・移転を目的とする制度。所属・監理に関するルールが存在し、転職や業務範囲に制限があります。
  • 特定技能:人手不足分野での就労を目的とする在留資格で、食品製造分野が該当することがあります(要・試験等)。
  • 留学(資格外活動):学業が本旨で、例外的に短時間就労が認められるケース。長時間の業務や責任ある職務は原則不可です。

※各資格に関する詳細な適用範囲や要件は法令・告示・運用指針で定められています。実務対応では個別ケースの確認が重要です。

4. 事業者が整備すべき内部管理(チェックリスト)

採用から日常管理まで、最低限整えておくべき項目は次のとおりです。

  • 在留カードのコピーと保管(※原本は必ず提示して確認)
  • 在留期限と更新スケジュールの管理(担当者を決める)
  • 雇用契約書に業務内容・労働条件を明確化
  • 労働安全衛生の教育記録(刃物・機械の取扱い、衛生管理など)
  • 生活面の支援体制(住居、生活相談窓口の案内、多言語資料の整備)

5. トラブル予防の実務的ポイント

トラブルの多くは、コミュニケーション不足と制度理解の不足から生じます。予防のための実践例を挙げます。

  • 業務マニュアルや注意事項を図解や多言語で準備する
  • 定期的なフォロー面談を設け、労務条件や健康状態を確認する
  • 資格に関する簡易チェックリストを現場管理者に配布する
  • 入管手続きや労基法との整合性で迷ったら専門家(弁護士、行政書士、社会保険労務士等)に相談する

6. まとめとご案内

外国人労働者の受入れは、適切な制度理解と現場管理があって初めて企業の強みになります。特に食品業界は安全・衛生・文化的配慮が絡むため、事前準備と継続的な管理が重要です。制度運用に不安がある場合は、早めに専門家へ相談してください。

ご相談・お問い合わせ:兼氏行政書士事務所
現在、精肉業多忙のため、新規受付を停止しております。

タグ:外国人雇用 / 在留資格 / 食品業界

コメント

タイトルとURLをコピーしました