こんにちは。
食品法務専門行政書士の兼氏芳浩(かねうじ よしひろ)です。
精肉売場でよく目にするPOP表記に「スペアリブ」というものがあります。
でも、ふと立ち止まって考えてみたことはありませんか?
「そもそも“スペアリブ”って部位名としてOKなの?」
「景品表示法的にセーフ?アウト?」
今回のテーマは、精肉現場でよく見かけるこの「スペアリブ」表示の適正性について、食品法務の観点から解説します。
1. スペアリブとは何か?
「スペアリブ(spare rib)」とは、一般的には豚のあばら骨付き肉(バラの一部)を指す通称です。
「肋骨まわりの肉を焼いた料理」の呼び名として知られ、アメリカンBBQなどでも定番です。
つまり「スペアリブ」は部位の正式名称ではなく、料理名や通称に近い言葉です。
2. POP表示に使っていいの?
結論から言えば、
「実際に提供されている肉が“豚のバラ肉の骨付き部分”であり、誤認の恐れがなければ、POP表示として“スペアリブ”を使うこと自体は違法ではない」
なぜなら、POP表示は「景品表示法」が主に規律しており、以下のような原則があります。
- 誤認を与える表示は禁止
- 部位名や原産地、品質について、実際の商品と一致しない表示は禁止
- 商品の一般的な理解と大きく乖離する呼称の使用は避けるべき
つまり、「スペアリブ」とだけ書いて実際は骨のないバラ肉だったとか、豚ではなく牛だったなど、誤認につながる場合には不当表示の対象となり得ます。
3. 望ましい表示の例
表示例 | 適正性 | 補足説明 |
---|---|---|
豚スペアリブ(骨付き) | ◎ | 一般的に誤認の恐れがなく適正 |
スペアリブ(豚骨付きバラ) | ◎ | 通称に加えて部位説明も明記しており親切 |
スペアリブ | △ | 誤認の恐れあり。牛か豚か不明、骨付きかどうか不明 |
スペアリブ(牛) | × | 一般的に「スペアリブ=豚肉」の理解があるため、誤認リスクが高い |
4. 実務での工夫ポイント
- 「スペアリブ」とだけ書くのではなく、“豚” や “骨付き”などを併記する。
- 必要に応じてPOPの下部や欄外に、部位の説明や用途(煮込み・グリル用など)を補足する。
- 新人担当者にも、こうした“呼称と部位のズレ”を意識させる教育を行うと◎
5. まとめ
「スペアリブ」はあくまで通称・料理名として流通している呼び方であり、
POP表示に使う際は、実際の商品とのズレがないか常にチェックが必要です。
- POPは「なんとなく」ではなく、「正確性」が求められる時代。
- 小さなPOPにも、店の信頼と法律が詰まっています。
📌次回予告:「カルビ」「ハラミ」など、通称部位のPOP表示の落とし穴について深掘りします。
📩 食品表示・POP表記で気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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