【第4回・精肉POPの適正表示】「スペアリブ」って書いちゃダメなの?

こんにちは。
食品法務専門行政書士の兼氏芳浩(かねうじ よしひろ)です。

精肉売場でよく目にするPOP表記に「スペアリブ」というものがあります。
でも、ふと立ち止まって考えてみたことはありませんか?

「そもそも“スペアリブ”って部位名としてOKなの?」
「景品表示法的にセーフ?アウト?」

今回のテーマは、精肉現場でよく見かけるこの「スペアリブ」表示の適正性について、食品法務の観点から解説します。


1. スペアリブとは何か?

「スペアリブ(spare rib)」とは、一般的には豚のあばら骨付き肉(バラの一部)を指す通称です。
「肋骨まわりの肉を焼いた料理」の呼び名として知られ、アメリカンBBQなどでも定番です。

つまり「スペアリブ」は部位の正式名称ではなく、料理名や通称に近い言葉です。


2. POP表示に使っていいの?

結論から言えば、

「実際に提供されている肉が“豚のバラ肉の骨付き部分”であり、誤認の恐れがなければ、POP表示として“スペアリブ”を使うこと自体は違法ではない

なぜなら、POP表示は「景品表示法」が主に規律しており、以下のような原則があります。

  • 誤認を与える表示は禁止
  • 部位名や原産地、品質について、実際の商品と一致しない表示は禁止
  • 商品の一般的な理解と大きく乖離する呼称の使用は避けるべき

つまり、「スペアリブ」とだけ書いて実際は骨のないバラ肉だったとか、豚ではなく牛だったなど、誤認につながる場合には不当表示の対象となり得ます。


3. 望ましい表示の例

表示例適正性補足説明
豚スペアリブ(骨付き)一般的に誤認の恐れがなく適正
スペアリブ(豚骨付きバラ)通称に加えて部位説明も明記しており親切
スペアリブ誤認の恐れあり。牛か豚か不明、骨付きかどうか不明
スペアリブ(牛)×一般的に「スペアリブ=豚肉」の理解があるため、誤認リスクが高い

4. 実務での工夫ポイント

  • 「スペアリブ」とだけ書くのではなく、“豚” や “骨付き”などを併記する。
  • 必要に応じてPOPの下部や欄外に、部位の説明や用途(煮込み・グリル用など)を補足する。
  • 新人担当者にも、こうした“呼称と部位のズレ”を意識させる教育を行うと◎

5. まとめ

「スペアリブ」はあくまで通称・料理名として流通している呼び方であり、
POP表示に使う際は、実際の商品とのズレがないか常にチェックが必要です。

  • POPは「なんとなく」ではなく、「正確性」が求められる時代。
  • 小さなPOPにも、店の信頼と法律が詰まっています。

📌次回予告:「カルビ」「ハラミ」など、通称部位のPOP表示の落とし穴について深掘りします。

📩 食品表示・POP表記で気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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