こんにちは、食品法務専門行政書士の兼氏です。
以前、簡単に食品表示について触れましたが、今回は現場での誤用や判断が難しい「加工助剤」「キャリーオーバー」の取り扱いを中心に実務的な注意点をお伝えします。
1.添加物表示で重要なスラッシュ「/」の使い方
添加物は原材料名の最後にスラッシュ「/」で区切り、まとめて表示することが食品表示基準(消費者庁告示第3条、第別表第1参照)で義務付けられています。
しかし、現場ではスラッシュの付け忘れや誤った位置に付けてしまうケースが多く、消費者混乱や行政指導の原因となります。
【実例】
- スラッシュを入れ忘れ、添加物が原材料と区別されず表示されてしまう。
- スラッシュの位置が原材料途中に入ってしまい、添加物以外も誤って区切られる。
こうしたミスは食品表示基準の違反となり得るため、注意が必要です。
2.加工助剤・キャリーオーバーの表示義務について
ここが非常にわかりにくいポイントです。
- 加工助剤とは、加工の過程で使用されるが最終製品にほとんど残らない添加物で、表示義務はありません。
- キャリーオーバーとは、原材料に含まれる添加物が完成品に微量に残る場合で、添加物としての機能が無ければ表示義務は免除されます。
これらの取り扱いは、食品表示基準の条文ではなく、消費者庁の通知やQ&Aなど行政指導の文書で示されています。
【参考】
- 消費者庁「加工助剤の取扱いに関するQ&A」
- 消費者庁「食品表示基準の運用に関するQ&A」
行政通知は定期的に更新されているため、最新の情報を確認しながら対応することが重要です。
3.現場での実務ポイントと対応策
- スラッシュの付け忘れを防ぐため、原材料表示のルールを明文化し、社内で周知徹底する。
- 商品ラベルは複数名でチェックし、法令遵守を確実にする。
- 加工助剤やキャリーオーバーの該当判断に迷った場合は、消費者庁の最新通知や管轄保健所に確認を取る。
- 表示違反があれば行政指導・改善命令のリスクがあるため、早期に対応策を講じること。
4.まとめ
添加物表示のスラッシュは単なる記号ではなく、消費者に正確な情報を伝える大事なルールです。
加工助剤・キャリーオーバーの表示義務は行政通知で判断されるため、条文だけでなく通知やQ&Aの内容も日頃からチェックし、最新ルールを実務に反映させることが食品表示の信頼を守る鍵となります。
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